失神外来

失神外来について

失神(気絶)をしたことはありませんか?

「失神」とは「一過性の意識消失の結果姿勢が保持できなくなり、かつ自然に、また完全に意識の回復が見られること」と定義されます。英語では「syncope」と表され、日本語では「気絶」とも言われます。失神の発生率は年間1000人中6人というデータがあり、水戸市の人口が約30万人なので、水戸市だけで年間約2000人の方が失神していると推測されます。

失神は的確な診断と治療で、多くの症例を予防できます。失神でお困りの方、もしくは過去に失神したことのある方、ぜひ一度当院にご相談ください。

いつ受診するべきなのか?

失神は「脳」の病気と勘違いされやすいのですが、基本的に失神は「脳」の異常で起きるのではなく「自律神経」や「心臓」の異常で起きる病気です。自律神経が原因で起こる失神の予後は良好ですが、心臓の異常で起こる失神は命に関わる事があり、放置するのは危険です。失神を一度でも起こしたことのある方は、当院の受診をお勧めします。

失神が起こる原因

  • 失神とは?

    失神とは「一過性の意識消失発作の結果、姿勢が保持できなくなり、かつ自然に、また完全に意識の回復がみられること」とされています。失神は一度意識が回復するとその後は無症状ですが、命を脅かす病気が隠れている可能性がありますので、注意が必要です。

    失神が起こりやすいのは若年の方と高齢者の方であり、一度失神を経験すると繰り返しおこる傾向もあります。失神のタイミングによっては大けがに繋がる可能性もあるため、患者様の生活習慣を考慮して対応していく必要があります。

  • 失神の原因となる主な疾患

    • 反射性失神

      約60%

    • 起立性低血圧

      約15%

    • 心臓が原因の疾患
      (心原性失神)

      約10%

    原因疾患を大きく分類すると、自律神経が関与する「反射性失神」と「起立性低血圧」、心臓の異常、特に不整脈が関与する「心原性失神」に分類されます。原因の約6割を占める「反射性失神」は、自律神経の中で「副交感神経」が過剰に亢進することによって起こる失神です。このような失神を起こす人に対しての診療で最も大切なことは、「反射性失神の起こる機序」を説明し、本人にしっかりと理解してもらう事です。

    その上で失神を予防する生活指導や、失神を起こしそうになった時の回避法などを指導します。このタイプの失神は、このような指導だけで約8割防げるというデータがあり、生命予後も良好な疾患です。それに対して心臓が原因の「心原性失神」は、失神全体の約10%と頻度は決して高くはないのですが、見逃すと命に関わる高リスクな失神です。原因としては徐脈性不整脈が最も多く、循環器内科による専門的な精査加療が必要となります。

当院における失神外来の目的

循環器の専門医が的確な検査・診断を行い、失神の原因を追究します

失神は起こした本人が比較的速やかに元に戻り、後遺症がないことが多いため、病院を受診しない事も多いです。仮に受診しようとしても何科に受診していいか分からず、また一度病院を受診した事があっても原因を追究されずに対処方法も指導されないまま経過してしまうことが多い疾患です。

私は循環器内科の専門医であると同時に、失神も専門として今まで多くの患者様の診療をしてきました。失神診療で一番大切なことは、患者様への詳細な問診と、失神の病態を患者様に説明し理解していただくことです。「診断がつかないまま失神発作を繰り返す患者様の不安を取り除き、生活の質(QOL)を改善する」ことを最大の目的として日々診療に取り組んでいます。

治療の流れ

日本循環器学会や欧州心臓病学会のガイドラインに沿って、検査を進めていきます。
失神の頻度はもちろん、いつどこでどういった場面で失神が起こっているのか正確に確認していくことが大切です。
それらのヒアリングを基に推測し、専門的な治療を進めていきます。

  1. Step01問診

    まずは患者様の失神についてヒアリングさせていただきます。前駆症状があるかどうかに加え、失神で意識消失直前の行動や失神の頻度などは正確な診断をする上で必要不可欠な情報なので、詳しく伺います。

    また、失神時の状況を患者様本人が覚えていないことも多々ありますので、意識消失時に現場に居合わせた方のお話を参考にします。失神外来での受診をご希望の方は、以下ボタンから問診票をダウンロードして事前に記入していただくことでスムーズなご案内が出来ます。こちらは必須ではございませんので、ご来院時に直接ご記入いただく形でも大丈夫です。

    問診票
  2. Step02検査

    心電図、レントゲン写真、心エコー検査、血液検査を中心に行います。

  3. Step03治療

    自律神経系失神の治療で一番大切なのは、失神の起こる機序を説明し、本人にしっかりと理解してもらう事です。その上で失神を予防する生活指導や、失神を起こしそうになった時の回避法などを指導します。それでも失神を繰り返してしまう場合には精査のために「失神センター」などに紹介する事もあります。

    心原性失神と診断された場合、もしくは心原性失神が強く疑われる場合には、循環器内科専門の高度医療機関にご紹介することになります。心原性失神はしっかりと診断し治療すれば、失神を再発することはほとんどなくなる場合が多いです。